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ニュースリリース

【参本会議】足立信也議員が「薬機法等改正案」について質疑

 足立信也議員(参議院議員/大分県)は22日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった「薬機法等の一部を改正する法律案」に対する質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。

「薬機法」等の一部を改正する法律案に対する質疑・質問

令和4年4月22日
国民民主党・新緑風会 足立信也

国民民主党・新緑風会の足立信也です。会派を代表して「薬機法」等の改正案に対して質問します。

(ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグ)
2009年、政権交代の時にはドラッグ・ラグ3年半、デバイス・ラグ3年、ワクチン・ギャップ20年と言われていました。我々はラグとギャップの解消に努め、2012年にはドラッグ、デバイス・ラグの両方とも0.3年となりました。今、現場からはラグが元に戻りつつあると言われていますが、直近令和2年度のドラッグ、デバイス・ラグはそれぞれ何年でしょうか。厚労大臣にお聞きします。

私は日本のラグには承認申請前のいわゆる開発ラグと審査のラグがあると認識しており、それぞれ別の対策を講じました。近年再び増加したラグはどちらのラグが主因で、何故、ラグが再び増えてきたのでしょうか。厚労大臣に伺います。

そして、総理にはこの法改正によってどのラグを縮めようとしているのか、お聞きします。

私は開発ラグが増加しているのは我々が始めた新薬創出等加算を自公政権で縮小したからだと思っています。特に2018年以降、革新性・有用性に着目して対象品目を大幅に削減したことにあります。革新性は結果論であって、開発の段階から革新性の証明ができていたら、研究者は苦労しません。開発後になって革新性がないと言われたら取り組みも委縮してしまいます。政府は創薬を強力に支援する方針でしょうか。その方針であれば内容を総理にお聞きします。

(緊急承認制度)
「緊急承認制度」は安全性の確認前提で、有効性が推定された時の承認制度と聞いています。総理、2002年日本が世界で初めて承認した「イレッサ」のことは覚えていると思います。「イレッサ」は承認からわずか3か月後に緊急安全性情報が出され、多くの患者さんが間質性肺炎で亡くなりました。1970年代、悪性リンパ腫の治療法としてCHOP療法が開発されましたが、日本人には投与量が多すぎて多くの副作用が見られました。

安全性の確認は難しいものなのです。安全性の確認が前提とはどのような試験のことを言うのですか。そして、有効性を推定する試験は何でしょうか。また、第3相試験が不要な「条件付き承認制度」との違いはなんでしょうか。以上3点、総理に伺います。

米国のEUA(emergency use authorization) は使用許可、EUの CMA(condition marketing authorization)は条件付き販売承認です。両者との違いは何でしょうか、あるいは同じでしょうか。厚労大臣にお聞きします。

2021年4月から始まったアビガンの第3相試験がこの3月に目標被験者316例に届かず、終了しました。「緊急承認制度」が存在していれば、安倍元総理が強く推奨したアビガンは使用できたのでしょうか。総理に伺います。

以下、厚労大臣に伺います。「緊急承認制度」は2年以内ですが、スペイン風邪、COVID-19を考えると3年で収束する可能性が高いと考えます。1年以内に行うべき臨床試験とは何でしょうか。1年で第3相試験が可能でしょうか。

「特例承認」と同様に製造販売業許可や製造業許可は「緊急承認制度」の要件ではありません。GMP調査の実施も要件ではありません。後発医薬品製造の問題が記憶に新しい訳ですが、対象が国内生産品であるならば、製造、販売の許可は必要ではないでしょうか。要件にしなくて大丈夫でしょうか。

この「緊急承認制度」が将来の承認につながるかは不明です。未承認のまま、使用許可期限が終了する可能性が極めて高いと思われます。これはまさに「緊急承認制度」と言うよりも「緊急使用許可制度」というべきではないでしょうか。総理の認識を伺います。

(ワクチン・ギャップ)
そしてワクチン・ギャップ20年。2010年にWHOが推奨や勧告をし、日本で法定接種されていないもの8種に対してそれぞれ小委員会を作り、費用対効果を検証しました。その結果、効果の高い3種類を1種法定接種に相当する予算措置をし、実施しました。以降7種類の予防接種が法定化され、ワクチン・ギャップは少し縮まりました。
因みに予防接種の接種率と政府への信頼度は比例するという研究結果が「Lancet」、「Nature Medicine」に記載されております。

厚労大臣に伺います。現在、世界では15人に1人、日本では16人に1人が感染しています。令和2年9月の「新型コロナウイルスワクチンの評価に関する考え方」によると、流行するウイルス株や民族的要因の差などで国内で臨床試験を実施する必要がある、となっていますが、民族的要因の差はあったのですか。

これまで確保したワクチンは8億8200万回分、金額は流通費用も含め2兆4036億円です。アストラゼネカ製は大量廃棄が見込まれます。ノババックス製も承認されました。
今、COVID-19で問われているのは3回目の費用対効果です。1、2回目の接種は対象年齢人口から見ると大多数の人が接種を受けていますが、3回目は特に若い人の間で未だ半分に達しておりません。という事は1、2回目の接種と3回目の接種の費用対効果は比較できる筈です。オミクロン株に対する3回目の予防接種の費用対効果はどうなのでしょうか。その上で4回目の接種の予防効果をどのように科学的に予測しているのでしょうか。総理の認識を伺います。

そもそもCOVID-19は一般的な感染症になってきています。国内産ワクチンが実用化できたとしても、おそらく年に1回の任意接種に使われると予想します。緊急承認制度が必要か、大変疑問です。

(保険適用ラグ)
日本にはもう一つの大きなラグがあります。保険適用ラグです。国民の大半は国民皆保険の中で保険適用されてはじめて使用できるものと思っています。

厚労大臣に伺います。薬価基準収載医薬品、保険適用医療機器及び再生医療等製品の適応外使用はどれくらいあるのでしょうか。
特に、保険診療との併用が認められている評価療養のうち先進医療において認められている数、医薬品医療機器法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器の数はそれぞれどれくらいあるのでしょうか。    

(バイオ医薬品)
真に有益なものは保険適用すべきです。そのことによって多くの国民がその有益性を享受できます。しかし、バイオ医薬品を保険適用することは保険財政上、大きな負担となります。総理は新規適用と適用除外のバランスをどう考えますか。

医療財政上、バイオ後続品(バイオシミラー)の開発、使用率向上は重要課題です。日本でバイオシミラーの製造は何か所で何種ほど行われていますか。何故、バイオシミラーの生産が進まないのでしょうか。課題は何でしょうか。総理の認識を伺います。

ラグをなくす為に、我々はPMDAと協力して審査の人員を増やし、相談体制を充実させ、新薬創出加算を設けて開発を促進しました。ところが自公政権では審査を緩めようとしています。

エネルギー、原材料、食料をも海外に依存する日本。最悪の財政赤字を抱える日本。それでいて成長分野が見られない日本。総理、世界から注目されるのは近い将来に訪れる食糧危機に対する食文化、そして健康寿命世界一に関連する創薬分野だと思います。電子処方箋に関する質疑は委員会で行いますが、創薬は日本をけん引する分野だという認識を持って下さい。そのことを申し上げて質問を終わります。