2021.06.16-国会

【参本会議】矢田副代表が「重要土地等調査規制法案」について賛成討論

 矢田わか子副代表(参議院議員/全国比例)は16日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」(重要土地等調査規制法案)への賛成討論を行った。討論の全文は以下のとおり。

本会議 賛成討論

国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。

会派を代表し、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」に対し、 賛成の立場から意見を述べます。

本法律案は、自衛隊施設などの防衛関係施設や、原子力発電所などの生活関連施設を重要施設とし、併せて国境離島について、それぞれの機能が阻害されないよう、土地の利用状況の調査や土地取引の届出、さらには機能阻害行為の是正を勧告・命令できることを規定するものであります。

以下、賛成する理由を3点、述べます。

第一に、社会の変化に応じた土地制度の改善に資するものとなっていることです。今日、少子高齢化や地方の過疎化が進む中で、各地で空き家・空き地が急増し、所有者不明の土地も増加しつつあり、今日の土地制度が、社会の変化に対応できていない実情があります。

今国会においては、所有者不明土地の対策として「民法」と「不動産登記法」が改正され、相続登記や所有者の住居変更の登記の義務化がはかられるなど、一定の前進が見られましたが、国土保全のための対策は、今後ともより強力に推進されなければなりません。

一方、近年、外国人や外国法人による土地購入が増加しており、近隣住民の不安を募らせているという、土地制度における新たな課題も出てきました。とりわけ、防衛施設の周辺や国境離島において外国人による不透明な土地取引も行われ、安全保障上の懸念も示されています。

この問題については、2011年、民主党政権時代に民主党内に「外国人による土地取得に関するPT」が設置され、東日本大震災の直後に、「森林、国境離島、防衛施設周辺、エネルギー施設周辺など」について、土地の所有情報収集の整備や、外国人の土地取得を規制する立法化の検討などが提言されました。この提言から10年が経過しましたが、ようやくその提言の理念の一部が法案化されたものと理解いたします。

わが国の土地制度と土地法制が、時代の変化に対応できなくなり、とくに土地所有情報の的確な把握と、森林など国土の保全、そして土地の有効活用と安全保障の確保という様々な視点から、土地法制の整備は早期に行われる必要があり、本法案はこの法整備の一翼を担うものとして位置づけられるものと考えます。

 賛成する第二の理由は、わが国の安全保障の機能を高め、国益を守ることに繋がるからです。

今日、安全保障を巡って、科学技術の進展とともに各国間の情報戦は一段と活発化しており、サイバーセキュリティ対策の推進とともに、先端技術情報や防衛関係情報をいかに守っていくかが大きな課題となっています。これらの対策とともに、わが国の土地所有や土地利用の実態についても安全保障対策の対象とし、取引情報の一元化や情報管理をより徹底していく必要があります。

防衛については、軍備の面のみに目が向きますが、こういった外国人による土地取得への対応は国益を巡るサイレントな攻防であり、いまこそ、これまでの対応の遅れを取り戻し、将来にわたり、国土から得られるべき果実を確保していく必要があると考えます。

賛成する三つ目の理由は、わが国の経済発展と安全保障の両立に資するものとなっているからです。

海外からの対日投資の促進は、わが国経済の安定的成長に必要なものであり、今後とも、外国人や外国資本の自由な経済活動を保障しながら、一方で国益を損(そこ)ね、安全保障の確保に逆行するような行動に関しては厳しく規制していく必要があります。

土地はそもそも「公共財」であり、日本人、外国人にかかわらず、土地を所有する権利とともに、次世代に繋いでいくための土地活用と保全の義務を負っています。本法案が「外国為替及び外国貿易法」や「森林法」などとの連携を図りながら、経済活動と安全保障の確保に資する機能を発揮することを期待いたします。

以上、賛成する理由を述べましたが、一方で、この法案については、内閣委員会での審議において、二つの課題が明らかにされました。

一つ目は、法の立法事実と実効性確保の課題、二つ目が人権侵害への懸念という課題です。とくに、人権問題に関しては、法執行上の要となる「注視区域の指定基準」や「機能阻害行為の類型」が法案に明記されず、具体的には総理大臣が決定する「基本方針」や政省令に委ねられ、注視区域における調査対象や調査方法、あるいは個人情報の扱いが不透明なまま残されました。

このことで、自衛隊施設の周辺住民や、県内の多くの地域が注視区域となる沖縄では、基地との関わりをもつ住民への監視体制が築かれ、人権とプライバシーの侵害がおこるのではないか、との不安が高まっています。

これらの懸念を払拭するために、国民民主党が衆議院に修正案を提出したように、政府は「基本方針」に基準等を明示すべきでありましたが、残念ながら未だ明確になっておりません。次善の策として、せめて政省令の制定過程を“見える化”し、土地等利用状況審議会の議事録を公開するとともに、随時、国会報告を行うべきであり、これらのことを必ず実行して下さい。

併せて、土地利用調査にあたっては、対象となる住民の皆さんに丁寧な事前説明を行い、必要な協力を得られるよう、責任をもって取り組んでいただきたいと考えます。

本法案については、すでに述べたように、多くの事項が政省令に委ねられ、法の実効性についても不透明であるとの指摘がなされていますが、安全保障政策に100%はありません。現世代は、未来の世代に何ができるのかを考え、まずはアンテナを高くして調査し、国土の現況を正確に把握しておくことが重要だと考えます。

あらゆる方面から少しずつ法規制を強め、未来に生きる子供達に安心・安全な世界を残していけるよう、いまこそ立法府がその責務を果たしていかなければなりません。本法案にもとづく政策の遂行にあたって、懸念に対する丁寧な説明など、政府の真摯で的確な対応を求め、私の賛成討論といたします。

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