ニュースリリース
国民民主党 代表定例会見(2024年6月25日)
【冒頭発言概要】
冒頭、我々がこの間取り組んできた就職氷河期世代対策についてまとめましたので、発表します。元々、3月28日に伊藤孝恵参議院議員が本会議場で「自分も100社以上落ちた」という話をしたところ議場に笑いが起こったことに端を発して、国会議員あるいは国会の就職氷河期世代に対する認識不足を我々も認識しました。このことに対して改めて対策が必要だということで党としてアンケートをとって、約1,000人の方からご意見をいただいて、それを元にこの間議論を重ねてきて、今回一定の取りまとめを行ったということです。
まずアンケート中で一番多かったのは、とにかく不安だということです。今と将来に対しての不安があるということです。そのことに対してどう応えていくのかということで、主に6点取りまとめをしました。
まず1つは、現在も何もしてないわけではなく、政府も特にこの5年間、就職氷河期世代対策には取り組んでまいりました。けれども、我々のアンケートでも明らかになりましたが、そもそもそういう支援策があることを知らない人も多いうえ、ニーズに合ってないという人が約半分です。実際に何か成果に繋がったという人は極めて少ないということがわかりました。政府にもヒアリングしましたが、政府のヒアリングからもそのことが明らかになりました。例えば、ハローワークは基本的に失業者に対して一定のサービスを提供しますけれども、多くの就業就職氷河期世代の方は在職中なので、その在職中の方がさらにキャリアアップして何かというときに、あまりハローワークは効果を発揮しないことも明らかになりました。なのでまず、現在政府が行っている就職氷河期世代の対策を検証すると同時に、実態調査もしっかりやっていくことを我々としては取り組んでいきたいです。特に就職氷河期世代というと男性で非正規という固定的なイメージがありますが、必ずしもそうではないカテゴリーの方もいらっしゃいます。まずはしっかりと実態把握をすることがまず1点です。
2つ目は、不安に寄り添っていくということからいうと、広く考えれば1993年から就職氷河期世代が始まっていますので、もう上のほうでは54歳、55歳となってくるわけです。そうすると、あともう10年しないうちに年金生活者になっていく。でも過去は取り戻せないので、今のままいくと極めて低年金者になってしまうところが不安の一つになっています。今、雇用関係が良くなってきて比較的新しい職に就いていい給料をもらえることになったとしても、遡及して保険料が払えない。せっかく今払えるようになったとしても過去の分は払えないので、結果として低年金になることが見えている。ということですので、まず二つ目の対策として厚生年金の遡及納付を可能にすること、併せて従来から申し上げている高齢者ベーシックインカムとしての最低保障年金制度をしっかり構築していくことが2つ目です。今抱えている老後の不安にしっかり寄り添っていくということです。
3つ目は、非常に多かったのが、当時非常に就職環境が厳しかったので、面接のときに厳しいことを言われたとか、100社200社落ちたということ自体が非常にトラウマになっている。例えば面接とか履歴書で、数年間空白がある、そういう履歴書を持って就職活動するのがそもそも怖いとかできないと思っている方がいらっしゃる。そういった問題に対応できる、それでいてちゃんと能力を生かした就職ができるように、一つの参考例として、東京都が条例を作って行っているソーシャルファームという認証制度があります。企業に一定の補助も出して施設を整えたり制度を作ったりすることを応援して、通常の就労に困難を抱えた方々が働きやすい環境を作る制度が東京都にございます。そういった東京ソーシャルファームの取り組みなどを全国展開していくことも含めて、就労に困難を抱えている、過去の履歴にいろいろな心配がある方が民間企業に就職できるような取り組みを応援していくというのが3点目です。
元々イタリアで始まった制度で、世界中に1万社以上、また韓国だけでも確か3000社ぐらいあります。元々障害者の方(対象)だったんですけれども、障害をお持ちの方以外にも、いろいろな形で就労に困難を抱えてる方をうまく橋渡ししていく。そういった企業を増やしていこう、そういった認証制度を導入していこうということを全国展開していきたいと思います。
4つ目は直截的ですが、国や地方公共団体が公務員として、しっかり採用していこうということです。就職氷河期を対象とした公務員の採用枠を設けると、60倍とか600倍とか、わずかな枠にすごくたくさんの人が来るわけです。こういったニーズがあるということと、今いわゆる非正規の公務員が増えていますけれども、ある程度定員削減を止めて、公務で能力のある方をしっかりと受け入れていく。就職氷河期世代の対策をするということであれば、まずは国と地方自治体が率先して公務員として採用していく。教職員とかスクールスポーツサポートスタッフ、保育士、福祉職などの採用を拡大していくことを4番目の提案として申し上げます。
5つ目は、「リスキリング」といつも言われますけれど、簡単にできるものではなく、例えば何か学び直しと言っても、今の仕事を辞めてどこかで学んで次と言っても、その間所得が途絶えてしまいます。また、雇用保険にしっかり入って失業手当をたくさんもらえる形ではない方もいらっしゃいます。その意味では我々がずっと提案してきた「求職者ベーシックインカム」、次に向けて何かリスキリングしたり学んでいるときに、その間の最低限の所得保障をしてくことを行うことによって、次にチャレンジしやすい経済的な安心感を作っていくというのが5番目です。
最後に、ビジネスケアラーの支援の拡充です。先ほど申し上げた通り、就職氷河期世代という中には、もう50代の半ばに差し掛かってる方もいますし、40代の方も多いです。そうなると親の介護なども伴いながら、自分の更なる就労も気にしなければいけない人が増えてきています。そういう意味では介護の支援、特に低所得世帯に対する介護の支援を充実させていくことによって、ビジネスケアラーにもなっている就職氷河期世代をしっかりとサポートしていくということです。
様々なご意見もいただきましたし、冒頭申し上げた通り、就職氷河期世代と言っても様々な形態があります。まずよく現状を把握した上で、新しい安心感を創造していくという観点から、年金の問題であるとか介護の問題にしっかり応えると同時に、官民合わせて円滑な就労の仕組みを導入していくことで、就職氷河期世代の皆さんをできるだけサポートしていきたいと思っております。