質疑事項
Ⅰ.(こども家庭センター設置における課題について)【厚労省政府参考人】
現在、自治体には、母子保健法に基づき、妊産婦や乳幼児の保護者の相談を受ける「子育て世代包括支援センター」と、児童福祉法に基づき、虐待や貧困などの問題を抱えた家庭に対応する「子ども家庭総合支援拠点」が併存している。
政府は、この度の児童福祉法の改正により、二つを一本化し、子育て世帯を包括的に支援する「こども家庭センター」の設置の努力義務を課し、その所管をこども家庭庁とするとしている。2021年4月時点で、支援センターは全市区町村の9割を超す1,603市区町村で設置済みだが、支援拠点は4割弱の635市区町村にとどまっている。
① 人材不足
a. 新たにこども家庭センターを設置するには、子育て世代包括支援センターの機能を拡張する自治体が多いと考えられるが、どちらの機能も持つことにより業務負荷の増加が予想される。また、支援計画(サポートプラン)作成も新たな業務負担となる。
既に子育て支援に必要な人材が不足している状況で、これらの業務に対応するための人材を新たに確保する予定なのか。
b. 保健師の児童相談所への配置割合は令和2年度で58%、今年度までに100%を目標としているがハードルが高い状況にある。児童相談所だけでもこのような状況で、さらにこども家庭センターを整備するとなれば、より一層の人材確保策を講じる必要がある。
平成 30 年度「保健師の活動基盤に関する基礎調査」によると、20 歳代、30 歳代の保健師の定着には、処遇改善はもとより、自己のキャリアアップが図れる職場環境の整備や子育てしながら働くことができる労働環境への改善が必要とされている。人材確保に向けて今後どのように取り組んでいくのか。
② 必要性
小規模市町村がこれまで支援拠点を設置してこなかった理由として、地域の少子化等から高齢者への対応を重視せざるを得ず、子どもにお金を投資することがそもそも難しい、また、児童虐待件数が少なく児童虐待担当等の子ども対応を専任でおく必要性がないといった課題が挙げられている。誰一人取り残さないという観点から、こども家庭センターについては、どのくらいの市町村をカバーしようと考えているのか。
Ⅱ.(こどもコミッショナーについて)【野田大臣】
独立した第三者機関の設置について、これまでの内閣委員会等の議論を踏まえて、現在政府はその必要性についてどのように考えているか。
Ⅲ.(障害児支援について)【厚労省 政府参考人】
① 厚生労働省によると、子の出生数が減る中、障害児支援サービスを利用する子どもは19年度までの5年間で約2倍の約40万人に増加している。
障害を持つ子を養育する家庭では、片方の親が働き方を制限せざるを得ないこと等から、相対的に年収が低くなっているといった調査結果もあるが、障害者支援の拡充について政府の考えを伺う。
② 障害児を育てる保護者には「特別児童扶養手当」が支給されているが、所得制限が設けられている理由について伺う。
③「特別児童扶養手当」については、2020年度申請を却下された人の割合が地域差によってばらつきが顕著となっている(却下率:秋田県0.3% 横浜市:62.2%)。
審査を担う判定医の個人差が要因とされているが、現在の実態と今後の対策について伺う。
Ⅳ.(出産育児一時金について)【厚労省 政府参考人】
厚生労働省によると、出産費用は年々増える傾向で、2019年度は公的病院でも全国平均約51万円、個室料金代などを除く最低限の水準で約44万円かかるとされている。
事実上、誰もが必要とする医療的支援に対して、医療保険の対象とできないのか。
例えば、安全な分娩に必要な医療的行為と、それ以外の付加サービスの費用を分離することによって、母子の安全な出産環境を維持しつつ、公費の適正な分配環境に近づけると考えるが如何。
Ⅴ.(スクールソーシャルワーカーについて)【文科省 政府参考人】
令和2年5月の「学校における専門スタッフ等の活用に関する調査」によると、SSWの制度自体の認知が進んでおらず(主にスクールカウンセラーとの違い、学校間、教職員、生徒、保護者含め)、活用が進んでいないことが挙げられている。
また、市教委に1人しか配置されていないところでは、派遣要請をためらう学校や、巡回型としている市教委においては、1校当たりの巡回時間が短いことも挙げられ、人材の確保が急務である。制度の周知と人材確保について、具体的な計画と目標について伺う。
答弁要求:野田大臣(参考人陪席可)、政府参考人一任(内閣、文科、厚労)
配布資料:あり