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ニュースリリース

【衆本会議】向山好一議員が地方税法等改正案について質疑

 向山好一議員(衆議院議員/兵庫3区)は18日、衆議院本会議で議題となった地方税法等改正案に対して質疑を行った。質疑の全文は以下の通り。

地方税法等改正法案 本会議質問

令和7年2月18日
国民民主党・無所属クラブ
向山 好一

国民民主党・無所属クラブの向山好一です。
「地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法案」について、会派を代表して質問致します。

【家計調査の結果をどう受け止めるのか】財務大臣
 まず、石破内閣の基本的認識を伺います。
 先日、2月7日に総務省が発表した家計調査によりますと、2人以上の世帯が消費に使った1世帯当たり月間の平均額が30万243円、物価を除いた実質で前年を1.1%減少したということです。賃金がそれなりに上がり物価が上がっているにもかかわらず消費額が減少しています。これは手取りが上がっていない証です。個人消費が伸びないとGDPが上がるはずがありません。
 さらに、2024年の「エンゲル係数」が28.3%まで上昇し、1981年以来の高水準になったとのことです。米国16%、ドイツ19%、英国22%、お隣の韓国は12%、日本はOECD主要国のなかでダントツ1位になっています。
 この家計調査は、国民負担が高く手取りが増えず、物価高に苦しめられながらも毎日何とかやり繰りしている国民生活の実態を如実に映し出しているのではないでしょうか。この国民のSOSは政府には届いているのでしょうか。
 この状況から抜け出すためには、現在45.1%と高止まりしている国民負担率を下げる、つまり減税を実施することが必要不可欠だと思いますが、石破内閣にはこういうご認識がおありでしょか。お伺いいたします。

【減税額のさらなる上積みを求める】総務大臣
 それではまず、地方税法の改正について伺います。今回の改正の内容は、所得税の基礎控除等、「103万円の壁を引き上げる」ことに対応した改正になっています。
 しかし、その額は、私たち国民民主党が切実な国民の声を受け止め手取りを上げる政策として掲げ、そして昨年12月11日に3党で合意した「178万円までの引き上げ」から程遠い123万円を前提としたものであります。
 これは国民への裏切り行為ではないでしょうか。
 先週、街頭で演説をしていますと、ある若い女性が歩み寄ってこられ、切実な要望をお聞きしました。その方は、母子家庭の母親で、毎日一生懸命に働き月給が22万円、そこから税金等の公的負担が指し引かれ、手取りが15万円程度、そこから家賃や光熱費、教育費などを支払って月8万円程度で生活している。この物価高で最低限の生活をしても足らない。何とかして欲しいと切実に仰っておられました。
 厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」にると令和3年の数値ですが、「ひとり親世帯の平均年間就労収入」が236万円、さきほどの話は特別なものではなく国民生活のまさしく実態なのです。
 今回提案されている個人住民税の減税額は年間1万円、月に換算するとたったの800円程度にしかなりません。これでは全く国民の悲鳴に応えたことにならないのではないですか。政府は基礎的支出の物価上昇に対応したものと胸を張っておられますが、この案なら消費者物価上昇の対策にもならないのは明らかです。
 あらためて、住民税の基礎控除等のさらなる引き上げを政府に求めます。

【地方財政は果たして火の車か】総務大臣
 この国民民主党が求める178万円までの引き上げに対し、政府は地方税の減税額が4兆円程度と試算し、国と地方のあわせた財政に大きな影響を与えるとネガティブな情報を発信しています。しかし、果たしてそのとおりでしょうか。
 今年1月17日に内閣府が発表した「中長期の経済財政に関する試算」を見てみますと、生産性上昇率が直近の景気循環の平均値0.5%を想定した「過去投影ケース」で、国と地方合わせた基礎的財政収支、プライマリーバランスが来年度は少し悪化して4.5兆円の赤字となるものの、2026年度からは平均して1.5兆円の黒字を予想しています。
 そのなかで、地方財政の収支を見てみますと、例えば2026年度が8.2兆円、2027年度が8.5兆円、今後ずっと約8兆円程度の黒字を見込んでおられます。この試算は、所得税の控除額を123万円まで引き上げることを織り込んだ数値です。
 さらに、経済成長の前提を過去40年の平均値1.1%と想定する「成長移行ケース」とすれば、プライマリーバランスの黒字額はさらに大きくなります。
 政府自らが好調な税収増を背景に国と地方を合わせた財政が相当に改善していくことを発表しているにもかかわらず、なぜその恩恵を国民に還元しないのですか。
 ご見解を伺います。

【自治体への責任ある対応】総務大臣
 さらに、178万円まで引き上げた場合の地方税の減収に対し、地方公共団体の首長さんから、保育所サービスができなくなるのではないか、ごみ収集が出来なくなる、あるいは福祉の切り捨てにつながるのではないか、といった「懸念の声」が上がっています。
 果たして、そのようなことが起こるのでしょうか。地方財政の仕組みとして税制改正による地方税収減分は基準財政収入の減少を通じて普通交付税で補填されます。結果として臨時財政対策債が増加することになるのでしょうが、基準財政需要額は確保される制度になっています。先ほど例示しました「行政サービスの低下」は現行の財政ルールが変更される以外にあり得ないことです。
 地方税の減税をこれ以上引き上げない要因のひとつがそこにあるなら、極論や飛躍し過ぎた議論はやめていただきたいし、いたずらに住民の皆さんの不安を煽るのはやめるべきだと思います。
 私たちは理不尽な制度を提案しているわけではありません。ましてや、地方財政に悪影響を与えることがないように対策を打つことが大前提であることは明確に申し上げています。そのうえで、ちゃんと理に叶う、これまで取りくんでこなかった税制の是正を求めているのです。
 政府にご見解を求めます。

【持続可能な地方財政のあり方】総務大臣
 つぎに、地方財政の偏在化の是正について伺います。
 1月31日に公表された総務省「住民基本台帳人口移動報告」によりますと、2024年の転出超過が40道府県、東京都には約8万人の転入超過となっています。明らかに東京一極集中が加速しています。
 そのことの地方財政への影響は財政偏在化の進展です。これまでにも幾度となく地方法人税の税制改正等でこの偏在化是正の取り組みをされました。しかし、令和4年度での数値ですが全国での人口一人当たりの最大税収格差がトップの東京都と比べると個人住民税で2.5倍、固定資産税が2.3倍、対策を打ってきたはずの地方法人二税は何と5.9倍と逆に広がっているのです。
 東京一極集中の是正は引き続きやらないといけませんが、目の前の現実を直視すれば、地方財政の持続的安定化のためには税制上のさらなる対策が必要になっているのでではないでしょうか。
 石破総理の看板政策でもある「地方創生2.0.」の前進のためにも検討すべき時期にきていると思います。ご見解をお聞き致します。

【ふるさと納税制度の改善】総務大臣
 次に「ふるさと納税」について質問致します。
 この制度は、平成20年度に導入され今年で17年が経過しました。導入時の寄付額は81億円でしたが令和5年度は1兆1、175億円にまで膨れ上がっています。その要因は「魅力的な返礼品」です。このことで、当初の主旨・目的から逸脱しているのではないか、自治体の税収に大きな影響を与えているなど問題点が指摘され、制度の改善、あるいは廃止などの要望が自治体からも出てきています。
 そこで、私から2点お聞きします。
 毎年、年末になると大手EC事業者からテレビ等で「ふるさと納税を促すコマーシャル」が流れます。これに私は違和感を覚えます。現在、ふるさと納税の50%、約5,000億円が募集費用で失われています。そのうちの12%がEC事業者への手数料等です。額にして1,000億円以上、納税事務が営利目的に利用されていることになります。国や自治体が、現在の民間が運営するサイトと同様のサービスを行うことは難しいことではないように思います。貴重な税収の5割が返礼品、ポータルサイト手数料、送料や広告費に消えている現状を改善すべきではないでしょうか。
 お考えを伺います。
 2つ目は、以前から指摘されている高額納税者、つまり高額所得者ほど有利な制度になっている点です。総務省の試算では2,000円を除いた全額が控除される目安として「夫婦と大学生、高校生の子供2人の家庭」で、年収300万円の家庭ではゼロ、1,000万円で144,000円、2,500万円で817,000円となっています。これは、高額納税者が優遇され過ぎではないでしょうか。
 せめて、全額控除される上限額を例えば50万円に設定するなどの税の不公平感の解消を行うべきではないかと強く思います。
 ご見解を伺います。

【軽油引取税の暫定税率の廃止】総務大臣
 最後に、軽油引取税について質問いたします。
 私ども国民民主党は、他党に先駆けて「ガソリン税のトリガー条項の凍結解除」、つまり暫定税率分の減税を訴えてきました。その背景は、ウクライナ紛争や円安等の影響で燃料費が高騰し輸送費を含め家計を圧迫している現状を鑑み、暫定的に始まり50年以上も続いている上乗せ分をやめるべきだという政策判断です。
 もちろん、物流に大きな役割を担っている軽油も同様の状況になっています。
 帝国データバンクが昨年末に発表した報告書によりますと、2025年の見通しとして1月から4月までに値上げが決定している飲食料品は約6,000品目、昨年比6割増です。年間では15,000〜20,000品目が値上げされる見通しだということです。さらに、この値上げの要因の第一位が原材料高の93.2%、その次が物流費高78.4%。人件費43.9%や円安19.2%を大きく引き離し、値上げの大きな要因となっているものが「物流費」なのです。逆にいえば「物流費」が下がれば大半の物価を下げることができます。
 その物流を担うトラックの燃料の大半が軽油です。しかし、軽油には今なお1リットルあたり17.1円の暫定税率が上乗せされています。ガソリンとともに軽油に課されている暫定税率の存在は国民生活に直結する大きな問題です。国民のSOSに応えるために、暫定税率は即刻廃止すべきです。
 昨年末の3党合意の中には「いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する」と明記しています。国民の皆様は期待しています。3党合意の重みと国民の皆さまの悲鳴を真摯に受け止めるべきです。物価高騰への即効薬である「軽油引取税の暫定税率廃止」をガソリンとともにいつ実施されるおつもりでしょうか。
 明確なご答弁をお願いします。

 以上、地方の暮しに根付ざした質問を、「税金を使う側」ではなく「税金を納める側」から行いました。国民生活を直視した誠意あるご答弁を求め質問を終わります。