ニュースリリース
【参本会議】矢田副代表がデジタル改革関連法案について質問
矢田わか子副代表(参議院議員・全国比例)は14日(水)、参議院本会議において、デジタル改革関連法案について質問しました。質問の概要は以下の通り。
「デジタル改革関連法案」に対する代表質問
国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
会派を代表し、デジタル改革関連法案について質問をいたします。
まず、法案相互の関連性があるとはいえ、5つの法案、関連する63本の法律改正を伴う法案を、一つに束ね、一括審議するやり方では、慎重かつ十分な審議が保証されず、このような国会運営は大いに問題があることを冒頭に指摘いたします。
さて、デジタル社会の実現は、経済・産業の発展とともに、市民の行政 アクセスの利便性を向上させ、様々な社会的課題の解決を可能とするものです。しかし、残念ながら、我が国のデジタル化は欧米の先進国や、隣国の 韓国・台湾からも大きく遅れをとっており、とくに、今回のコロナ禍で、行政のデジタル化の遅れによる問題が浮き彫りになりました。今こそ、あらゆる分野におけるデジタル活動を推進し、行政の効率化と 経済活動や生活上の利便性を高めていく必要があります。
一方、経済・社会におけるデジタル化や電子政府の構築においては、 膨大な個人情報が蓄積され、システムの不具合や意図的な情報流出などにより、人権侵害や不正行為が起こるリスクも高まっています。個人情報の取得ルールやデータ利活用ルールの整備、あるいは社会 全体でのセキュリティ強化など、徹底した対応も必要です。
これらの視点から、以下のとおり、10項目について質問いたします。
まず、1つ目に、新型コロナ対策関係の問題について伺います。今般、コロナ感染対策の中で、日本の行政におけるデジタル化の遅れが露呈されました。特に、マイナンバーカード普及の低迷と、行政サービス 向上に繋げるシステム構築が進んでいないことから、オンラインによる給付金申請手続にも不具合が生じました。また、感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)も、自治体の 個人情報保護規定により参加が遅れた自治体があったり、「COCOA」も 未だ有効に機能していないなど、コロナ対策だけでも多くの課題が残っています。感染拡大が収まらない中、国民の命と生活を守るために、デジタル技術の導入拡大と、システムの信頼性を、どう高めていかれるのか、総理のご見解をお願いします。
2つ目に、デジタル・デバイドの対応についてです。デジタル化社会は、すべての人がその恩恵を享受できるものでなければなりません。例えば、新しい技術や操作に不慣れな高齢者や障害者などへの配慮、あるいはコロナ禍でリモート学習から取り残される児童への支援などにも、取り組んでいく必要があります。幅広い世代の方のニーズに合わせた最適化と、誰ひとり取り残さないよう、デジタル・デバイドを解消する対策について、総理のご所見を伺います。
3つ目に、デジタル庁設置と中央省庁の業務改善についてです。行政のデジタル化は、中央官庁間における情報の共有化と、システムの共通化によるコスト削減という目的のみならず、業務改善が行われ、公務員の皆さんの働き方改革に資するものでなければなりません。中央省庁では、昨年末からの調査で、「過労死ライン」である月平均80時間を超える超過勤務をした職員が6,700人を超え、100時間超えも3,000人近くいます。残業手当不払い事例も多々あり、多くの若手公務員が退職の道を選択する実情の中、デジタル化による働き方改革は必須であります。この課題について、デジタル庁はどのように主導されていくのか、平井大臣のご見解をお願いします。
4つ目に、地方自治体のデジタル化とクラウド活用についてです。行政のデジタル化では、中央と地方が連携した電子政府の構築が大きな目標ですが、全国的な標準化が費用対効果の面で妥当性があるのか、また住民サービスの向上に大きな効果をもたらすのか、詳細な検討が必要です。地方公共団体では、国が基本方針を策定しても、団体ごとに個別解釈とカスタマイズが発生し、システムの不統一性が継承される可能性があります。地方自治体の独自性を尊重しつつも、国全体の共通仕様に落とし込むところまで、国として細かく指導されるのか、平井大臣に今後の方針を伺います。併せて、クラウド活用は、コスト面や標準化の推進において大きなメリットがある一方、リスク管理上、他国のクラウド活用で良いのか、また通信障害などが起こると全国一斉でシステムダウンすることとなり、システムの安定性や安全性の確保をどのように考えておられるのか、平井大臣にお伺いします。
5つ目は、個人情報保護法との関係、センシティブ情報の扱いです。個人情報保護法の改正を巡って、衆議院の審議では、個人情報保護 政策を後退させ、監視社会がつくられるとする意見と、保護水準がより上がるという、二つの意見が出ました。とくに、思想信条、病歴、犯罪歴などの「センシティブ情報」については、収集禁止など厳しい規定を設けている 地方公共団体がある中で、今回の改正における問題点が指摘されています。総理の見解を伺います。
6つ目に、マイナンバーカードの普及・活用についてですが、カードの普及率が低い要因は、発行手続きの面倒さと、カード所有の必要性が感じられないというものです。カード使用による行政サービスの利便性向上や、民間企業の様々なサービスの取り込みを推進するとともに、運転免許証や健康保険証など 公的証明とマイナンバーカードの一元化をより推進することが必要です。さらに、スマートフォンと連動した各種手続きや、将来的な電子投票への活用も推進すべきであると考えますが、今後の対策について、平井担当大臣のご見解を伺います。
7つ目に、マイナンバーの預貯金口座の登録に関して伺います。災害時や今回のコロナ感染拡大など、緊急時において給付金を迅速に支給できる「命の口座」を設定することは重要であると考えます。今回、預金通帳を失った場合などの対応も含め、預貯金口座とマイナンバーを国に登録する法案が提出されていますが、併せて、金融機関全ての口座にマイナンバーを付番することを義務づけるべきと考えます。これは、社会保障制度を運営していく上で、負担と給付の公正性を確保するために必要な措置であり、とくに、わが国においては、個人や世帯に 対する様々な給付金・支援制度において、その多くに所得制限が課せられており、所得と資産の的確な把握が不可欠です。格差が拡大する社会の中で、マイナンバーを活用することが重要と考えます。総理のご見解をお願いします。
次に、システムエンジニア・いわゆるSEの業務負荷の軽減について質問します。先日、厚生労働省のシステム開発を担っていたSEの若い労働者が過労死の労災認定を受けたという報道がありました。国は地方自治体に対し、住民基本台帳や国民健康保険、国民年金など17業務について、2023年度から25年度の間で、ガバメント・クラウドを活用した標準準拠システムへ切り替えることを指示しています。しかし、この移行作業が短期間に集中することで、SEが高負荷労働を 強いられ、結果として品質の低下や計画未達を招くことが懸念されます。これを避けるために、計画的な推進が必要です。SEの世界では、過度な業務による疾患、休職、退職が続いており、社会全体でSEの業務改善について配慮していく必要があると考えます。平井大臣のご見解をお願いします。
続いて、政府のIT調達のあり方について伺います。これまで、政府のシステム構築においては、コンサルタント会社が作成 した仕様が曖昧であったり、不正確であったことにより、請け負った事業者が、技術的な困難さに直面したり、費用の予算超過を起こすなどの問題が生じたケースが、多々、報告されています。かかる問題は、デジタル庁が主導するシステム調達の一元化や標準化により、ある程度は改善されるものと考えますが、今後の的確な調達のあり方について平井大臣の見解を伺います。
最後に、IT人材の育成と魅力あるIT産業の実現について伺います。DXの成否は各企業のIT人材が鍵を握ると言われていますが、わが国では、IT人材がIT企業に偏在しており、このことが一般企業でDXが進まない一因とされています。DXを担えるIT人材の育成を、国としても積極的に推進していただきたいと考えます。とくに、IT産業では、請負的なシステム・インテグレーション・ビジネスが 主流で、レガシー・システムの保守業務が多く、魅力のある職場、やりがいを感じられない業務になっていることが指摘されています。処遇改善につながる資格制度などを新設し、専門性のある事業領域を設定するなど、IT業務の価値とIT産業の魅力を高める取り組みが 必要であると考えますが、梶山大臣のご見解を伺います。
以上、10項目について、政府の丁寧かつ真摯なご答弁をお願い申し上げ、私の代表質問といたします。